目次
1.Tickmill (ティックミル) とは
Tickmillはイギリス・セイシェル・キプロスなど多数の国の金融ライセンスをもつ、ヨーロッパを中心に人気が高い海外FX業者です。
日本居住者向けには過去にイギリスとセイシェルの口座開設ができましたが、現在 (2021年9月時点) ではいずれも口座開設できなくなっており日本から撤退しています。
Tickmillは極小スプレッド、NDD方式の採用、禁止事項が少ないなど取引上のメリットが充実しておりプロトレーダーを中心に人気が高かったようです。
しかし、海外銀行送金にしか対応していなかったり、日本円口座が使えないなど日本人にとっては使いにくい側面もありました。
また、他の業者にはない変わったボーナス・キャンペーンも行っていたようで、ユニークなFX業者でもあったようです。
2.Tickmill (ティックミル) は2020年3月に日本撤退
Tickmillはすでに日本から完全に撤退しました。2020年3月31日に口座凍結、それ以降は原則出金ができなくなっています。
日本撤退の理由は明らかではありませんが、金融庁が2020年3月に出した無登録で金融取引を行う者リストに掲載されていたため、金融庁による圧力もあったのではないかと思われます。
現在日本居住者は利用することはできませんが、ヨーロッパを中心にサービスを提供しているので、海外在住の日本人であれば利用が可能です。
Tickmillに関しては大丈夫だったようですが、海外FX業者が日本を撤退するときに出金ができなくなるケースもあるので、他の海外FX業者を利用する場合は注意が必要です。
3.Tickmill (ティックミル) の口座タイプは4種類
Tickmillは上記のように4種類の口座タイプから選択可能で、口座はトレーダーのレベルや資金力によって分けられていました。
Pro、VIPはプロトレーダー向けで0pipsの狭いスプレッドで取引を行うことができます。VIPは最低入金額が550万円になっており高額取引を行う人向けです。
クラシック口座は入門レベルの口座で、スプレッドがPro、VIPに比べ広くなっているぶん手数料がかかりません。
また、デモ口座も用意されているためあまり経験のないトレーダーでも経験を積むことができました。
4.Tickmill (ティックミル) のメリット7つ
4-1.信頼性の高いイギリスFCAの認可を受けている
Tickmillの親会社Tickmill UK Limitedは、世界で最も厳格で信頼性の高いイギリスのFCA (金融行動監視機構) のライセンスを取得しています。
認可を受けるにはさまざまな条件をクリアする必要があり、海外FX業者でFCAのライセンスを持っているFX業者は数えるほどしかありません。
FCAは金融業者を認可する際に次のことに重きをおいています。
・入出金が自動処理され人間による改ざんができない
・顧客資金の分別管理がされている
どの国のライセンスを取得しているかどうかはそのFX業者に信頼にかかわります。イギリスの他にキプロス (CySEC) も信頼性が高いと言われているので、参考までに押さえておいてください。
4-2.透明性の高いNDD方式を採用
Tickmillは取引の方式にNDD (ノンディーリングデスク) 方式を採用しています。NDDとはディーラーの介入なく注文を自動で約定させる仕組みです。
取引所の介入によって取引内容を改ざんする悪質な業者が多いため、透明性を示す意味でこの方式を採用しているFX業者は多いです。
NDDは一般的にスプレッドが広がりやすいというデメリットがありますが、Tickmillでは低スプレッドを実現させています。
4-3.最大レバレッジ500倍
Tickmillの最大レバレッジは500倍で追証なしのゼロカットシステムを採用していたため、リスク管理をした上でハイリターンを狙うことができました。
ゼロカットシステムとは、相場の変動によって生じた証拠金額を超える損失 (追証) を業者側が補填してくれる仕組みです。海外FX業者は基本的にゼロカットシステムを採用しているため、借金を抱えるリスクがありません。
4-4.スプレッドが狭い
Tickmillでは、VIP、Pro口座ともにスプレッドが狭く設定されています。ドル/円のペアではVIPが0.4pips、Proが0.6pipsでした。
したがって、スキャルピングやデイトレードで取引回数が増えてもスプレッドによる手数料で証拠金が減る心配がほとんどありません。
また、スプレッドとは別に取引手数料もかかっていましたが、それでもドル/円のペアでVIP、Proそれぞれ0.2pips、0.4pipsほどでした。
4-5.禁止事項が少ない
Tickmillには禁止事項がほとんどあリませんでした。
スキャルピングやアービトラージ取引 (他業者間または複数口座で両建ての取引をし利益を得る手法) はたいていのFX業者で禁止されていますがTickmillでは許容されていたようです。
他のFX業者で禁止事項を犯すと最悪出金拒否や口座凍結、ブラックリストに載り、海外FXができなくなることがあります。
したがって、Tickmillはかなり自由度の高いFX業者だということがわかります。
4-6.ストップレベルが0に設定されている
他社では2pips以上に設定されていることが多いストップレベルがTickmillではなんと0に設定されていました。
ストップレベルは指値や逆指値注文の際に現在価格から最低限離さなければいけない値幅のことで、スキャルピングやデイトレードなど比較的小さい値幅の利益を狙う場合特に重要な値です。
ストップレベル0のFX業者はあまり多くないので、Tickmillは短期トレーダーにも重宝されたでしょう。
4-7.オリジナルツールの「オートチャーティスト」が利用できる
TickmillはEA (エキスパートアドバイザー) のオートチャーティストを無料で提供していました。このEAはFX専用ツールMT4にダウンロードして使用することができます。
オートチャーティストは、チャートパターンの分析や通知、価格予測を行ってくれます。チャート分析をする時間がなく、判断に迷う人にとってはとても便利です。
5.Tickmill (ティックミル) のデメリット3つ
5-1.入出金方法が海外銀行送金のみ
Tickmillでは国内銀行送金はできず、入手金方法は海外銀行送金に限られていました。
海外銀行送金は高額な手数料が発生するため、利用するのに抵抗を感じる人もいるでしょう。また、口座への着金も2~5営業日ほどかかり不便です。
なので海外FX業者を選ぶ際は、国内銀行の入出金に対応しているかどうかを調べるようにしましょう。
5-2.日本円口座がない
Tickmillには日本円の口座がなく、USDやGBP、PLN、EURからしか選ぶことができませんでした。
そのまま外貨預金するなら問題はありませんが、出金の際は円高・円安を考えて両替する必要があったため不便だったでしょう。
5-3.信託保全が明記されていない
Tickmillのセイシェル口座の資金管理方法は、分別管理のみで公式ホームページに信託保全は明記されていませんでした。一方、イギリスの口座であれば信託保全が適用されていたようです。
分別管理だけだと仮にTickmillが倒産した場合、預けていたお金が全額保証されない場合があります。
信託保全であれば、顧客資金は信託銀行 (第三者) に預けられ監視されるので全額返金保証があります。
6.Tickmill (ティックミル) の評判・口コミ
スキャEAはTickmillのプロ口座が1番成績が良いのだけど、2020年3月でティックミルは日本から撤退しちゃったので、セカンドベストはやはりTradeviewだ。
XMのゼロ口座でも試してみよう。
— FXうなぎ (@unagi_fx) June 8, 2020
この方のようにTickmillを愛用していたFXトレーダーから日本撤退を嘆く声がツイッター上に多くみられました。
海外FXをする場合は、複数口座を開設しておくことで日本撤退リスクを分散させることができます。
Tickmill[ティックミル]という海外FX業者を利用しています。相性がいいと感じています。
理由は…
「全通貨ペア平均してスプレッドが狭め」
「手数料も安め往復4ドル」FX自動売買を行うとトレード回数が多くなるので『スプレッド』や『手数料』などのコスト意識が高くなります。Tickmillには満足! pic.twitter.com/MnBIfACdaL
— まざ@ FX × 海外生活 (@nomadmuza) August 16, 2020
Tickmillを当時使用していた人のツイートです。やはり取引回数の多い自動売買や短期トレードを行う人に人気あったことがわかります。
手数料は取引回数を重ねるほど資金に大きな影響が与えるので、短期トレードを長く続ける場合はTickmillのようなできるだけ手数料の安いFX業者を選びましょう。
7.Tickmill (ティックミル) に関するQ&A
7-1.日本居住者の口座開設はできますか?
Tickmillはすでに日本を撤退しており、日本居住者が新規で口座開設することはできません。海外在住の日本人であれば口座開設できる国もあります。
7-2.入出金方法にはどんなものがありますか?
入出金方法は銀行送金とクレジットカードの2種類があります (クレジットカードブランドはVisa、Mastercardに対応) 。
100ドルまでの入出金手数料は無料ですが、送金を受ける金融機関側の手数料はかかる可能性があります。
前述したように日本円口座は使用できず、またFasapay、Skrillなどの電子送金サービスも利用するとはできませんでした。
7-3.ボーナス・キャンペーンはありますか?
Tickmillでは毎月の最優秀トレーダーに対して賞金1,000ドルが贈られる他のFX業者にはないボーナスがありました。
また、通貨ペアの指定時刻における価格を予想し当たった人は500ドル、新規で口座を開設した人は30ドルのボーナスがもらえるキャンペーンを行っています。
8.Tickmill (ティックミル) のまとめ
最後に本記事の内容をまとめます。Tickmillは次の特徴を持つ海外FX業者でした。
メリット
・信頼性の高いイギリスFCAのライセンスを取得
・透明性の高いNDD方式を採用
・最大レバレッジ500倍
・スプレッドが狭い
・禁止事項が少ない
・ストップレベルが0
・「オートチャーティスト」が利用できる
デメリット
・入出金方法が海外銀行送金のみ
・日本円口座がない
・信託保全が明記されていない
いくつか難点はあるものの取引におけるメリットは充実しており、惜しまれながら日本を撤退した海外FX業者だったようです。
現在日本居住者は口座開設ができないため、他の海外FX業者を探してみてください。