家賃を支払えないとどうなる? 家賃を滞納したときのリスクや滞納しそうなときに利用できる制度を紹介

この記事で分かること
  • 家賃を3ヶ月以上払えないと最悪の場合強制退去となる
  • 家賃を払えないと思ったらまずは大家や管理会社に連絡する
  • 家賃を払えないときは給付金・公的融資制度を利用するのも選択肢

もしかしたら来月の家賃が払えないかも…

とお悩みではないでしょうか?

家賃を滞納している状態が続くと、最悪の場合強制退去を命じられる可能性もあります。

この記事では、急な出費やカードの引き落としが重なるなどの原因で家賃が払えない方々のために、家賃が払えなくなった場合の影響や対処方法を解説します。

さらに、国が提供している給付金・公的融資制度も紹介しているので、ぜひ最後までご覧ください。

目次 非表示

家賃が払えない場合に起こってしまう6つの事態

家賃が払えない場合に生じるリスクとして、次の6つがあります。

これらは、家賃が払えないときに大家や管理会社からの通達を放棄することで生じるリスクです。

家賃については「お金が足りないから払えない」で済むことは基本的にありえません。

後に起こる滞納のリスクを把握することも重要になります。

損害遅延金の発生

借家人 (賃貸物件に住む方) は、期日までに家賃を支払わないと損害遅延金が生じます。損害遅延金とは、家賃を滞納した場合に発生する「損害賠償金」の一種です。

遅延損害金は家賃を滞納した日数によって、次の計算方法で求められます。

損害遅延金の計算方法

遅延損害金 = 家賃代金 × 延滞利率 × 延滞日数 ÷ 365日

賃貸借契約書に延滞利率の明記がない限り、年3%の法定利率で設定されています。

一方、貸主が契約書に記載する場合も、年14.6%が消費者契約法に基づく上限金利です。

たとえば、家賃8万円を1ヶ月間 (30日間) 滞納した場合の遅延損害金は、年3%では197円となり、年14.6%では960円になります。

強制退去させられる可能性がある

家賃の未納状態が続くと、強制退去させられる可能性があります。借家人の強制退去が裁判所により決定されると、現在の住まいを出なければなりません。

強制退去の目安として、一般的には滞納期間が3ヶ月を超えると勧告される可能性が高くなるでしょう。

強制退去の条件の一つに「貸主と借家人との信頼関係の崩壊」が挙げられます。

家賃の滞納が3ヶ月以上続くと「催促や督促に応じられず、すでに信頼関係が崩壊」している状態とみなされてしまうのです。

さらに、3ヶ月以上もの家賃滞納にくわえて、今後も家賃の支払いに目処が立たない場合も強制退去の目安になります。

強制退去を回避するには、家賃の支払い意思をあらわすと共に、貸主には誠意をもって連絡することが大切です。

連帯保証人に連絡される

借家人の連帯保証人として賃貸借契約書に署名押印した人は、本人に代わって滞納家賃を支払う義務があります。

連帯保証人は単なる保証人とは違い、家賃の滞納が発覚しただけで、貸主は連帯保証人に対して滞納家賃の支払いを請求できるのです。

連帯保証人には家賃の肩代わりをする義務が法律で規定されているからです。

もしも連帯保証人が滞納家賃を払えない場合、貸主は賃貸借契約の解除通知によって借家人との契約を解除することができます。

信用情報機関のブラックリストに載る可能性がある

家賃の引き落とし先がクレジットカード会社の場合、60日以上の滞納によって信用情報機関のブラックリスト (事故情報) に載る可能性があります。

カード会社や銀行・消費者金融などは、利用者が長期滞納することで、各金融機関が加盟する信用情報機関に滞納情報を送ります。

家賃の滞納は、クレジットカードの利用料金を遅延していることと同じであるため、利用者の信用情報がブラックリストとして登録されてしまうのです。

ブラックリストへの登録期間はおよそ5~10年となり、その間は新たに賃貸契約を結ぶことはできません。

また、スマートフォンの分割払いをはじめ、すべてのローンが組めなくなるといったリスクも伴います。

家賃をクレジットカードで払っている場合だけでなく、連帯保証人を賃貸保証会社にしている場合も同様です。

大家から裁判を起こされる可能性がある

家賃の滞納が数か月以上続くと、大家から裁判を起こされる可能性があります。

ただし、家賃滞納を理由として賃貸借契約を解除するには、借家人の滞納によって大家との信頼関係が破壊している状況が必要です。

具体的には、2〜3ヶ月の滞納が続き、「もう支払いは無理そうだから出ていってもらおう」と大家が判断した時が「信頼関係の破壊」となり、裁判を起こす正当な理由となるでしょう。

一方、裁判所では契約解除の理由が適正かどうか、あるいは大家にも原因がないかなども裁判の争点になります。

たとえば、大家が家賃の受け取りを拒否したり、感情のもつれで借家人を追い出すといった行為は契約解除の正当な理由とは言えず、裁判官に大家の主張が認めてもらえない場合もあります。

給与や財産を差し押さえられる可能性がある

借家人や連帯保証人も家賃が支払えないと、給与や財産が差し押さえられる可能性があります。

裁判所からの判決に基づいて執行される差し押さえは、非常に強い手続きです。

具体的には、勤務先から給与が入金される前に、滞納家賃分を強制的に差引かれて回収にまわされます。

なお、借家人の生活維持のため、差し押さえ額は手取りの4分の1までと決まっています。

また、財産の差し押さえでは、借家人の家にある価値ある資産が換金されます。

家賃を払えずに滞納してから強制退去させられるまでの流れ

家賃を3ヶ月以上滞納すると、強制退去によって出ていく必要があります。「実際に強制退去はないだろう」と楽観視している方は、注意が必要です。

ここでは、家賃滞納から強制退去までの流れをみてみましょう。

STEP1 家賃が引き落とせないと支払いの催促が届く

家賃の支払期日に引き落とせない場合、早くて翌日〜1週間程度で大家や管理会社から支払い催促の通知が届きます。

催促の内容は、「家賃が引き落とせなかったので、〇日までに支払ってください」などといったお知らせです。

こうした催促状が届いたら決して無視はせず、記載された期日までに家賃を振り込みましょう。

この段階ではまだ退去を強いられないほか、保証人にも連絡はいかず、ブラックリストにも登録されません。

STEP2 家賃滞納から2週間〜1ヶ月程度で連帯保証人などに連絡される

家賃を滞納すると、およそ2週間〜1ヶ月ほどで連帯保証人に連絡がいきます。

借家人と同等の支払い義務がある連帯保証人は、借家人が家賃を払わないと本人に代わって返済しなければなりません。

ここで注意しなければならない場合として、賃貸保証会社が連帯保証人になっている場合が挙げられます。

賃貸保証会社が滞納家賃を立て替える (代位弁済) ことで、賃貸保証会社が借家人の債権者となり、立て替え家賃の回収を図ってくることが考えられるためです。

STEP3 家賃滞納から2ヶ月程度で内容証明で督促状が届く

家賃の滞納から2ヶ月程度で、内容証明郵便を通じて督促状が届きます。

内容証明郵便とは、郵便物の内容について「誰が・誰に対して・どのような内容か・誰に宛てたか」などを郵便局が証明するものとなり、裁判による証拠材料として重要な書類です。

内容証明郵便には、滞納家賃の督促だけでなく、払えない場合は契約解除通知を送るといった内容が記載されています。督促状が届いたら期限内に早急な支払いを行うことが大切です。

STEP4 家賃滞納から3ヶ月以上経つと契約解除通知が届く

借家人や連帯保証人が支払督促を無視して3ヶ月以上経過すると、内容証明郵便で契約解除通知が届きます。

契約解除通知には、賃貸借契約を解除することと指定期日までに立ち退きを求める内容が記載されています。

立ち退きせずに居住を続けると「不法占拠」になるため、契約解除通知を受け取ったら速やかに退去しなければなりません。

なお、賃貸保証会社による代位弁済が済んでいても、借家人が家賃を滞納している以上、貸主は契約解除が可能です。

STEP5 契約解除されても立ち退かないと明け渡しについての裁判が行われる

契約解除通知の送付後も借家人が立ち退かないと、大家は裁判所に明け渡し訴訟の手続きをはじめます。

裁判所への訴訟では、多くの大家は物件の明け渡し以外にも、滞納家賃や延滞に伴う遅延損害金なども含めて申立てをおこないます。

裁判では当事者間の信頼関係の破綻が争点になることは言うまでもありません。

大家側は、内容証明郵便による契約解除や滞納家賃の請求書などを通知しているため、借家人は非常に不利な立場と言えます。

STEP6 最終的には強制退去させられる

大家の主張が通ると、その後に作成される判決文は債務名義となり、最終的には強制退去させられます。

債務名義とは「強制執行の申し立てをしても良い」という文書であり、裁判所が強制執行の実現を許可した文書です。

明け渡しの判決が出ても借家人が退去しない場合、確定判決に基づいた強制執行の申立てによって、執行官の立ち合いのもと強制的に荷物が運び出されます。

退去には1ヶ月の猶予が借家人に与えられており、その間で次の住居を探すことになります。

家賃が払えないと分かったときにすべきこと

家賃が払えないと分かったときにすべきこととして、次の4つが挙げられます。

一時しのぎに過ぎないものもありますが、状況は改善することでしょう。

4つの対処法を具体的に解説します。

大家や管理会社に連絡する

家賃が支払えないとわかったら、その時点で大家や管理会社に連絡をしましょう。

お金が足りなくて払えない事情を素直に伝えれば、支払期日を延長してくれたり分割払いを認めてくれたりする場合もあります。

大家や管理会社との賃貸契約は、あくまでも「信頼関係」に基づくものです。家賃を払えないとわかりながら連絡を怠ったり、あるいは長期間の滞納を続けたりすると「信頼できない」と思われて裁判を起こされてしまいます。

そのため、払う意思があることを誠実に伝えるとともに支払日も伝えましょう。

たとえば、「臨時収入が入るから〇月〇日までに振込みます」などと謝罪を含めて伝えれば柔軟に対処してくれるかもしれません。

大家や管理会社に家賃が払えない理由を伝える

どうしても家賃が払えない場合は、時間稼ぎも含めて以下の言い訳を参考にしてみてください。

なお、言い訳をする場合は大家や管理会社の心情を考慮して伝えるとともに、次回の支払日には振込みできる意思を明確に示しましょう。

伝えやすい言い訳①:子供の学用品や部活代金が高額だった

幼稚園や保育園に通うお子さんがいる方は、「預かり保育費用や新たな備品類が思いのほか高額だった」と言うことで家賃の支払いを待ってもらうことができるかもしれません。

小・中・高のお子さんがいる方は、「塾の検定費用や部活の宿泊代金が高額だった」あるいは「新たに制服を買い換えた」なども伝わりやすいでしょう。

伝えやすい言い訳②:家族の医療費がかさんだ

「思いがけない病気で入院費用がかかってしまった」と伝えれば、通常は理解してもらえるでしょう。

住友生命の調査結果では、入院費用の平均は1日におよそ15,000円もの額になるそうです。1週間の入院によって10万円以上もの入院費用になり、手術代を含めたらかなりの額になります。

伝えやすい言い訳③:冠婚葬祭で思わぬ支出があった

冠婚葬祭で思わぬ出費があった、というのもそれなりにあることです。そのため、言い訳としては理解してもらいやすいでしょう。

大家や管理会社に連絡せずに滞納するのは強制退去につながる

家賃の支払いができない場合に、大家や管理会社に連絡せずに滞納をすると強制退去になる可能性があります。

家賃の滞納は、賃貸借契約のルール違反であり借家人の債務不履行です。大家や管理会社の度重なる督促を無視すると、契約解除通知が到達して部屋の明け渡しを求められる可能性もあります。

こうした事態を回避するために、全額ではなくても少額を支払い、大家との信頼関係が維持できるように努めましょう。

親や連帯保証人に連絡・相談する

どうしても家賃が支払えない場合、親や連帯保証人にまずは借入の相談をしてみましょう。

しかし、いくら血が繋がっていても、お金の問題は親子の縁さえ厳しくさせるものです。そのため、親族や連帯保証人にはきちんと借用書を作成し、お金を返す前提で借りることを心得ましょう。

切羽詰まった状況の中ですが、決して一人で悩みをかかえず、まずは信頼できる親族や連帯保証人に借入の相談をする勇気も必要です。

一時的にお金がないなら消費者金融やカードローンを利用する

一時的にお金がない方は、即日融資に対応している消費者金融やカードローンの利用も検討してみましょう。

消費者金融は審査が早く、最短数十分で振込みをしてもらえるので、今すぐ家賃を支払う必要のある方には適しています。

もっとも、消費者金融の多くは「30日間無利息」のサービスを提供しているため、この期間内で返済すれば利息を払わずに済みます。

「あと少ししたらお金が入る」という状況には大変便利です。

ただし、消費者金融やカードローンは、家賃やクレジットカードなどの滞納があると審査に通りにくくなります。

そのため「来月の家賃が払えない」とわかったら、早めに申込みをして不測の事態に備えましょう。

無職や休職中に無闇にお金を借りるのはNG

借入れの際には貸金業者による「返済能力の審査」が必ずおこなわれており、収入のない方の申込みはできません。

消費者金融の金利 (年18.0%) は、家賃滞納の遅延損害金 (年14.6%) より高く、返済期間が長期化することで総額利息が膨れ上がり支払総額も増加します。

結果的に、利息の返済に追われて家賃の支払いが追いつかなくなり、他社から足りない分を借入れる「多重債務者」に陥る危険性も否めません。

よって、返済の目処が立たない場合はお金の借入れを控えるとともに、無職や休職中の方は後述している「給付金や公的融資制度」を検討するとよいでしょう。

また、実家に頼れる方は引越しをして、家賃の負担を軽減することも視野にいれましょう。

市区町村の相談窓口へ行って給付金・公的融資制度を利用する

収入がおぼつかず、どうしても家賃が払えそうにない場合は市区町村の社会福祉協議会に相談しましょう。

低所得者や失業者、高齢者、障がい者などの生活を支えるため、国では次のような公的支援制度を用意しています。

  • 住宅確保給付金
  • 緊急小口資金
  • 総合支援資金

ただし、各制度ごとに融資の対象条件が異なるため、事前に条件などを確認しておくとよいでしょう。

次の見出しでは、家賃が払えない方も対象になる3つの公的融資制度を紹介します。

家賃が払えないときに利用できる給付金・公的融資制度

急な出費などが重なって、家賃の支払いに頭を抱えている方もいるでしょう。普段働いている方が家賃の支払いに苦痛を感じると、相談先も知らないために一人で悩み通してしまうことが多いのが現状です。

給付金・公的融資制度は、生活に困窮した国民を支えるための「国の」支援制度です。

家賃を払えないときに利用できる可能性が高い給付金・公的融資制度として次の3種類が挙げられます。

住宅確保給付金 緊急小口給付金※ 総合支援資金※
給付・貸付対象者 失業などで住まいがなく、
あるいは失う可能性の高い方
低所得世帯で、
緊急かつ一時的に
生計維持が困難となった方
収入減や失業などで
生活維持が難しい方
給付や融資の目的 家賃費用 生活基盤の維持 生活の立て直し
給付・貸付上限額 家賃相当額
(地域や世帯数によって違いあり)
10万円以内 月15万円×3ヶ月
(単身の場合)
返済の有無
利子の有無
連帯保証人の有無
相談・申込先 各自治体の自立相談支援機構 市区町村の社会福祉協議会 市区町村の社会福祉協議会
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※現在は申請受付を終了しています

ご自身がどの制度の条件に合っているのかを見極めて、早めに相談窓口に問い合わせましょう。

住宅確保給付金

住居確保給付金制度とは、離職後2年以内で「すでに住まいを失う可能性」のある方や給料の減少などで家賃が払えない方のために、原則3ヶ月〜最大9ヶ月まで家賃相当額を給付してもらえる制度です。

また、「就業できる力は充分ありながらも仕事に就けない方」を対象として、就職活動への援助などを目的としています。

住宅確保給付金制度を利用するには、次のような条件が定められています。

  • 失業などで生活が苦しくて住まいを失うおそれのある場合や住まいがないこと
  • 離職や失業をしてから2年以内で65歳未満のこと
  • ハローワークに求職登録をして、真剣に就職活動をおこなえること
  • 保有する資産や財産が一定の基準以下
  • 月額による世帯収入 (最近のもの) が一定の額を超過しないこと

次に、月収の基準額を見てみましょう。

住宅確保給付金の基準額
世帯人数 月収基準額
1人 8万4,000円
3人 17万2,000円
5人 25万5,000円

基準額を参考にして、利用者の月収が基準額以下の場合は家賃全額が給付されます。

逆に、基準額以上の場合にはその差額分が給付されるように、住宅確保給付金では基準額を目安とした給付額も定められています。

ただし、給付可能な家賃額には上限があるため「いくらでもOK」ではありません。

例として、以下の市区町村における2人世帯と4人世帯の上限額を見てみましょう。

各市区町村の給付額の上限額
市区町村 給付される家賃の上限額
札幌市 世帯人数が2人の場合:43,000円
世帯人数が4人の場合:46,000円
東京23区 世帯人数が2人の場合:64,000円
世帯人数が4人の場合:69,800円
大阪市 世帯人数が2人の場合:48,000円
世帯人数が4人の場合:52,000円

給付金の上限は、市区町村によって異なるため窓口で相談なさってください。

緊急小口資金 (※申請受付は終了)

緊急小口資金は、失業により収入源を失った方や医療費に費やして生活資金が足りないといった方に、最大10万円を国が支給する特例制度です。

なお、緊急小口資金は厚生労働省の管轄となり、社会福祉協議会が中心となって進めている「生活資金貸付制度」という公的融資制度の一環です。

緊急小口資金が支給されるには次の受給条件をクリアしており、申請後の審査に通ることが必要です。

  • 低所得世帯であること
  • 一時的に10万円を貸付けしてもらうことで生計が成りたつこと
  • 12ヶ月以内に必ず返済できること

低所得世帯とは、令和3年1月1日以降の収入減によって住民税均等割が非課税相当の収入の方をいいます。また、高校生以上の児童のみを養育しており、令和3年の住民税が非課税の方も対象です。

ご自身の世帯が次のいずれかに該当している場合、緊急小口資金の対象となる見込みがあります。

緊急小口資金の対象となる世帯
低所得世帯 必要な資金とともに適した支援を受けることで生計が成りたつと認められる世帯であり、資金を他から借りることが難しい世帯
障害者世帯 身体障害手帳・療育手帳・精神障害者保健福祉手帳の交付を受けている方、あるいは障害者の方が属する世帯
高齢者世帯 高齢者 (65歳以上) の属する世帯、あるいは日常生活において介護や療養の必要がある高齢者など

緊急小口資金の返済期間は「受給日から2ヶ月を経過してから12ヶ月以内」と定められているため、その点には注意しましょう。

低所得者世帯の意義付けに関する住民税非課税は、市区町村によって基準が異なるほか低所得世帯だと認められる基準も違ってきます。

ご自身が対象となるかどうかを知りたい場合は、お住まいの市区町村役場に確認なさるとよいでしょう。

総合支援資金 (※申請受付は終了)

総合支援金とは、失業や収入源などで日常生活の継続が困難になった「世帯」への支援制度です。

ただし、再就職後の貸付金の返済があるため、適切に貸付できる状態であるかを審査したうえで支援がおこなわれます。そのため、総合支援資金の利用を世帯員が承知する必要があり、社会福祉協議会によっては世帯員の面接が実施される場合もあります。

総合支援金の貸付条件は、次のとおりです。

  • 低所得者世帯であり収入減や失業などで生活維持が厳しいこと
  • 借入申込をする際に本人の確認ができること
  • 現在、住まいがあること
  • ハローワークなどを利用して就職活動をしていること
  • 総合支援金を利用することで、自立した生活が可能なこと
  • 年金や失業給付といった公的給付金を現在受けれず、生活費の捻出が厳しいこと

また、総合支援金の貸付上限額は次のように定められています。

総合支援金の貸付上限額
融資上限額 2人以上世帯:月20万円以内
単身世帯:月15万円以内
※融資期間:原則3ヶ月
返済措置期間 1年以内
返済期限 10年以内

なお、総合支援金制度は次に該当する世帯の利用はできません。

総合支援金制度を利用できない世帯
  • 生活保護を受けている
  • 生活の状況や詳細が把握できない
  • 将来、自営業をはじめる
  • 債務整理を検討していたり、債務整理手続きをしている
  • 離職者支援金資金または総合支援金からの借入れを完済できていない
  • 世帯員に暴力団員がいる場合

総合支援金制度の融資額は高額になるとともに世帯員全員の面談が必要になります。一方、前述した住宅確保給付金の利用要件に該当する場合は、住宅確保給付金を利用する必要があります。

そのため、総合支援金制度はどの給付金制度の利用でも賄えそうにない場合に検討するとよいでしょう。総合支援金制度の相談をしたい方は、お住まいの市区町村役場にお問い合わせください。

家賃を払えず引っ越す場合はセーフティネット住宅も選択肢に

近年では「公営住宅」の思うような増設が叶わず、住宅確保要配慮者 (低所得者世帯・子育て世帯や高齢者・障がい者など) の住まいの確保が厳しいと言わざるを得ません。

一方で、民間の空き部屋や空き家は増えており、そうした使っていない住宅を利用してもらおうという「住宅セーフティーネット制度」が2017年より開始されました。

空き家などの賃貸人は、セーフティーネットの登録住宅として都道府県や政令指定都市、主要都市に使わない家を登録します。

登録された賃貸住宅の情報は、住まいを必要とする住宅確保要配慮者に情報提供されています。

そして賃貸住宅の情報をご覧になった方々が、その住宅の賃貸人に入居の申し込みをするというシステムです。

セーフティーネット住宅に申し込める方は次の通りです。

  • 低額所得者 (月収158,000円〈収入分位25%〉) 以下)
  • 発災後3年以内の被災者
  • 国からの住宅確保給付金や生活保護を受給していない
  • 希望する住宅がある市区町村に在住あるいは在勤している
  • 高齢者
  • 障がい者
  • 生活困窮者
  • 高校生相当まで養育している者
家賃は今より2〜3万円ほど抑えられるので、毎月の家賃の支払いがきついと感じている方で条件に該当する方は検討してみてもよいでしょう。

借金が原因で家賃が払えないのなら弁護士に相談して債務整理を

借金が原因で家賃が払えない方は、早めに弁護士に相談して債務整理の検討をしてみてはいかがでしょうか。

このままだと借金が増えるだけではなく、強制退去となって引越費用や新居に伴う敷金代金など余分な費用が生じます。

弁護士に今の現状を相談して債務整理をおこなうならば、銀行や信販会社、消費者金融などからの返済が止まるため、今後も家賃の支払いを続けることが可能です。

債務整理とはどんな手続き?

債務整理とは、多額な借金の支払いに苦悩している方が、生活を立て直すとともに借金返済の負担を軽減してもらい、あるいは借金の支払い自体を免除してもらう手続きです。

債務とは、消費者金融や銀行ローン、カードローンなどの借金全般を指します。

債務整理を行わなければ、業者からの取立ては続いて生活も脅かされたままです。

債務整理で1日も早く返済の目処をつけて、新しい人生のスタートを切りましょう。

債務整理を行うことで家賃が払えるようになる理由

現在、家賃を滞納しているのであれば、早急に対応しないと退去になる可能性がでてきます。

家賃以外に多額な借金を抱えていて生活が苦しいのであれば、ためらわずに弁護士や司法書士といった専門家に債務整理の相談をなさることをおすすめします。

債務整理を専門家に依頼することで、貸金業者からの督促や返済がストップします。

なぜなら、専門家から受任通知を受け取った時点で、借金をしている人への直接の取立てや連絡行為は法律で禁止されているからです。

債務整理の手続き中は借金返済に充ててたお金を家賃に回すことができるようになるため、連日の取立てで精神的に辛い方も心にゆとりが生まれることでしょう。

債務整理の種類

債務整理には次の3種類の方法が用意されています。

債務整理の種類
任意整理 利息のカットされた借金を借金を3~5年で分割して返済
個人再生 最大90%まで減額された借金を原則3年間で返済する
自己破産 免責決定を受けると借金の返済義務がなくなる

任意整理

任意整理とは、個々の貸金業者と「利息額や遅延損害金のカット」を交渉によって合意してもらい、借金の解決を目指す方法です。

大家や管理会社を整理の対象から外して家賃を支払い続ければ、住み続けることが可能です。

個人再生

個人再生とは、債務者に支払い不能の恐れがあることを裁判所に申立てて、再生決定の認可決定をもらい、借金額を5分の1〜10分の1程度に減額してもらう手続きです。

減額後の借金は原則3年で返済していきます。

自己破産

債務者の支払不能を裁判所が判断したうえで、返済義務を免除してもらう手続きです。

一定の財産は換価されて債権者に配当されますが、評価額が20万円以下の自動車や99万円以下の現金などは手元に残ります。

家賃を払えないときに債務整理を行う場合の注意点

まず滞納家賃を一般債権として扱う個人再生は、再生手続きの中で圧縮された家賃を支払うため、賃貸契約通りの支払いはできなくなります。

よって、本来の家賃代金は回収困難となり、契約解除はやむを得なくなるでしょう。

また自己破産では、借家人によって滞納家賃が踏み倒されて、今後も払える確率は低いため退去を命じられる可能性が高いでしょう。

なお、個人再生と自己破産は「債権者平等の原則」によって、一部の債権者だけに返済する行為 (偏頗弁済) は認められていません。

結果的に、滞納家賃を債務整理することで退去は免れません。

しかし、任意整理を利用すれば滞納家賃だけを手続きから外せるので、債務整理後もこれまで通り住み続けることが可能です。

家賃が払えないことについてよくある質問

家賃が払えないと、「今後どうなるのだろう」と不安が尽きないものです。特に、相談相手が身近にいない方は一人で悶々と悩んでしまうでしょう。

そこで、ここでは家賃が払えなくなった際に聞かれる質問を解説します。

家賃を払えないとどうなりますか?

家賃を滞納すると翌日から遅延損害金が生じ、連帯保証人に支払いの督促が入ります。

滞納家賃からおよそ3〜6ヶ月経つと契約解除通知が届き、明け渡しの訴訟を起こされます。

最終的に立ち退きを命じられて退去となります。

家賃を払えないのですが、相談可能な窓口はありますか?

家賃が払えない場合は、お住まいの福祉事務所「生活困窮者自立支援窓口」へ速やかに相談しましょう。

家賃の相談以外にも、賃貸を退去しなければならない方や生活や家計の相談などもできます。

一人で悩まずにまずは相談をしてみてくださいね。

コロナで仕事が減って家賃が払えなくなったのですがどうにかできないでしょうか?

コロナ禍によって収入が減り家賃が払えなくなった方は、次の給付金や公的融資制度の利用も検討しましょう。

  • 住宅確保給付金
  • 緊急小口資金
  • 総合支援資金
  • セーフティーネット住宅

一定の利用条件が必要なので事前に役場に相談しましょう。

家賃が払えないときに分割で支払うことはできますか?

通常、家賃の分割払いはできませんが、貸主にお願いすることで分割での支払いに対応してもらえる場合もあります。

連絡する際には毎月の返済額と完了月を説明し、翌月の家賃からは全額をきちんと払う約束が大切です。

今住んでいる賃貸の家賃が払えないので引っ越したいのですが可能でしょうか?

家賃が払えなくても信用情報機関のデータには記載されないため、引っ越しは可能です。

しかし、家賃滞納の記録は管理会社に登録されるため、管理会社 (または大家) や保証会社が同じ物件の審査は通らないと心得ましょう。

家賃を払えないときのまとめ

この記事のまとめ
  • 大家からの連絡も放置すると強制執行の可能性もある
  • 失職などで払えない場合は給付金・公的融資制度を利用する
  • 借金が原因で家賃が払えない場合は債務整理を検討する

家賃が払えないとわかった時点で大家に連絡をし、「払う意思がある」ことを誠実に伝えることが大切です。

なお、ご自身に適した給付金・公的融資制度を利用することで、家賃払いに必要な資金を用意できて滞納を回避することが可能です。

一方、借金が原因で家賃を滞納している場合は、債務整理をおこなうことで家賃が払えるようになります。具体的には、家賃以外の借金を任意整理してもらうことで返済がラクになり、結果的に家賃の滞納を回避できます。

一人で悩む前に、まずは公的制度の利用や弁護士に相談してみてはいかがでしょうか。